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使用済みMOX燃料初取り出しと運転差し止め

使用済みMOX燃料初取り出しと運転差し止め

四国電力伊方原発

究極の高レベル放射性廃棄物登場

 

四国電力は1月13日、定期検査のため停止中の伊方原発3号機から使用済みプルトニウム・ウラン混合(MOX)燃料16体を取り出した、と発表した。通常の軽水炉にMOX燃料を混ぜて核分裂を起こさせるプルサーマル発電が日本で開始されて以来、初の燃料取り出しとなった。2010年3月に装填され、プルサーマル発電を開始して以来、ほぼ10年ぶりとなる。この間、東日本大震災に伴う東京電力福島第一原発事故で全原発が運転を停止し、再稼働まで長期間停止していたためだ。この間、四電は燃料交換作業中に制御棒を誤って引き抜くという、一歩間違えれば大事故に繋がるアクシデントも起こしていた。一方、広島高裁は17日、伊方原発の運転を差し止める仮処分を決定した。このため交換用の未使用MOX燃料の装填はできなくなったが、大事故の恐れは消えない。なぜか。

 

▽行き場のない超危険物

もう何十年も前に策定された核燃料サイクル政策では、取り出されたMOX燃料はMOX専用の再処理工場に送られ、再びMOX燃料を製造することで、次々と新しい核燃料を生み出すというストーリーだったが、そのような再処理工場は国内に存在しない。普通のウラン燃料を再処理する工場やそれをMOX燃料に加工する工場すら、建設開始から何十年経っても完成できていない有り様だ。

取り出したMOX燃料は原子力建屋内の貯蔵プールに保管する以外の手立てはない。そして、気がついたのは、使用済みMOX燃料はとんでもない代物だという事実だ。

それは「全く行き場のない究極の高レベル放射性廃棄物が登場したということ」と龍谷大学の大島堅一教授(環境経済学)は1月16日付け東京新聞「こちら特報部」で指摘している。政府や原子力ムラが強調してきた高レベル放射性廃棄物の処分とは確か、核分裂の恐れのないガラス固化体にして、最後は地層処分だったはずだが、究極の高レベル放射性廃棄物は下手すると核分裂反応が起こる状態をそのまま貯蔵プールに留め置かれる。その期間も未定だ。

 

▽100年以上もプール保管か

使用済みMOX燃料は通常の使用済み核燃料に比べて、放射線量は10倍以上高く、発熱量は3〜5倍大きいという。このため通常の核燃料と同じ程度まで温度を下げるためには貯蔵プールでの冷却に100年以上かかるとされている。その貯蔵プール、外気と隔てるのは鉄筋コンクリート製の原子炉建屋のみ。

福島原発事故では貯蔵プールの水を冷却するシステムが地震や津波で壊れた。同事故では、貯蔵プール以上に厳重に防護されているはずの原子炉内で亀裂が生じ、水蒸気爆発などが起きて大事故となったが、4号機ではプールが傾いてしまい、完全に水がなくなれば核爆発の恐れもあり、東京など首都圏からの大脱出も最悪シナリオに加えられていた。

そんな貯蔵プールに100年以上も留め置かなければならない。当然ながらプールの耐用年数も100年以上ないだろう。いつまでも置いておくわけにはいかないが、運び出す先が見当たらない。

 

▽先を読もうとしなかった原子力ムラ

そんな原子力界の驚くべき実態が1月15日付け毎日新聞の「検証・行き場のないMOX燃焼」に出ている。そこでは「ある電力会社の社員は『使用済みのMOXを冷却した後のことまで考えが及んでいない』と打ち明ける」との話を引き出している。先を見ようとはしないのだ。同じような発言は「もんじゅ」廃炉時に装填されているMOX燃料を取り出す時にも、日本原子力研究開発機構(旧動燃)の中から聞こえたのを覚えている。

この後、2月下旬からは福島県にある関西電力高浜原発でも5体のMOX燃料が取り出される予定という。この問題は、今月末にも高浜原発で顕在化する。関電は福井県外に中間貯蔵施設を造り、そこで保管すると福井県知事に約束しているが、そんな施設は未だにできていない。「しばらく」と言って、置いたままにする以外はない。ごまかし続けてきた日本の原子力政策だが、これまで道を代える機会は何度かあった。(続く)2020/1/17