「紀行」関東軍731細菌戦部隊の遺跡を訪ねて(7)

グーグルが使えなかった中国ホテルのフリーWi-Fi英国国民投票と同様、キーワードはグローバリズムか?

 英国でEU残留か離脱かという極めて重要な国民投票が行われた6月23日の夜(米太平洋時間)、オバマ米大統領はサンフランシスコで米グーグルの最高経営責任者(CEO)スングル・ピチャイ氏らと会食していた(28日付日経朝刊「迫真」「Brexitの衝撃」)という

。残留派が勝つと思っていたからだろうが、米国の大統領が世紀の投票よりも重視するグーグルという存在があらためて浮き彫りになったともいえる。

 というのも、逆説的な言い方だが、中国では公衆Wi-Fiでグーグルが使えなかったことを思い出したからだ。世の中がスマートフォン(スマホ)やタブレットの全盛となると、世界のどこでも通話だけでなくメールをしたり、インターネットへの接続が可能になってくる。中国も例外ではない。路行く人の半数がスマホを手に持っていると言っても言いすぎでないほどだ。このため中国はじめ各国でフリーの公衆Wi-Fiが整備されるようになっている。

 しかしホテルのフリーWi-Fiで、グーグルとフェイスブックが動かない。なぜ動かないのか、使えないのか理由を考えていて、グローバリズムに思い当たった。オバマ大統領がグローバリズムの申し子ともいえるグーグルを重視するように、中国政府もグーグルを注視しているのではないか、と。

 

▽グーグルNO、ヤフーOK

 中国でグーグルが使えなかった事情は、次のような具合だ。中国のホテルでもWi-Fi環境が大幅に進化。宿泊したハルビン、瀋陽とも日本向けウェブで「Wi-Fi完備」を明記していた。早速ホテル内のWi-Fiを試す。ハルビンのホテルではガイドがパスワードを書いた紙を持ってきてくれた。部屋の中でセットアップすれば使えるという。部屋に入ってiPadで試す。パスワードを入れると画面にWi-Fiの図が出る。

 しかしメールを読もうと思ったのだが、Gメールの画面がなかなか出てこない。Gメールだけでない。マップなどグーグル全体がおかしい。グーグル・ウェブも時間をかければ動き出すというわけではない。かねてから中国政府はツイッターを規制。中国版ツイッター「微博(Weibo)」しか使えないという話は聞いていたが、グーグルは大丈夫と高をくくっていた。翌朝、一緒の旅行者からも同じ報告があり、私の端末の問題ではないことが

分かった。

 ただ、いろいろ試した人の中から「ヤフー(Yahoo)はメールもウェブも大丈夫だ」との情報が。確かに部屋のWi-FiでYahooメールもきちんと見ることができた。しかし、ほとんどのメールのやり取りをGメールでしているので、簡単には切り替えられない。

 瀋陽のホテルではどうかと再挑戦したが、結果は同じだった。Yahooは使えるがグーグル、フェイスブックやツイッターはホテルのWi-Fiでは全く使えない。理由は分からないが、両ホテルとも公衆の無料Wi-Fiを使うにあたってパスワードをインプットする。そこに秘密があるのかもしれない。なぜYahooはオーケーでグーグルはダメなのか、日本に帰ってからも疑問に応える説明を探せていない。

 

▽SIM使う携帯ではグーグルもOK

 ただしホテルのフリーWi-Fiはだめでも、Gメールやフェイスブックを見たり聞いたりする方法がないわけではない。スマホで使うデータ通信を利用するものだが、一定の料金がかかる。中国の携帯電話事情だが、中国移動通信(CMCC)と中国聯通(チャイナユニコム=CU)という大手のキャリアが中国全土の90%以上をカバーしている。携帯電話を使えるようにするには、SIMという電話番号などのIDや様々なデータを書き込んだICチップを電話機に挿入する。この2社をカバーするフリーのSIMを購入して、フリーのSIMを使えるスマホに挿せば、ほぼ中国全土で使えることになる。音声通話だけでなく、データ通信が可能というのも日本などと同じだ。

 日本ではNTTドコモ 、au、ソフトバンクの3大キャリアが携帯やスマホを抱え込み、勝手にSIMを使い外しできないよう「SIMロック」がかかっているが、中国は基本的にフリー。携帯を買い、好きなキャリアのSIMを挿せばいい。支払い方法は2種。プリペイド式か後払い式、圧倒的にプリペイド式を選ぶ客が多いという。

 ウェブなどを検索すると、空港や駅に売店があり、プリペイド式なら面倒な身分証明書などなくても買えるという記事がほとんど。私たちが今回の訪問で最初に入国するのは黒竜江省ハルビン空港なので、心配になって日本の旅行代理店に何回か確かめたが、面倒くさいのか親身のある回答なし。

 団体旅行のため空港で店を探す時間もなさそうとあって、結局ヨドバシカメラで宣伝しているTAKTという海外用SIMを購入、日本でfree SIMのスマホにセットアップして持ち込んだ。機種によっては、いちいち「アクチベーション」という作業をしないで住むものもあるというので、海外に行く回数が多い人はそういう機種を探して持ち歩いたほうがいいのかもしれない。

 ハルビンに到着して早速日本に掛けてみる。TAKTは実はエストニアの電話番号がふられ

ており、日本に電話をかけるといったん切れ、電話会社から電話がかかってきて、それに出ると日本に繋がる仕組みとなっている。エストニアの番号だが、中国移動に繋がり、日本からの電話応答は国内の回線状況があまり良くないところからよりも鮮明。反響音などない。ここらへんがIP電話との違いか。

 中国移動や中国聯通の回線に掛かるので、当然中国国内での電話料金は掛かる。インタ

ーネットなどをチェックするとあっという間にプリペイド料金がオーバーしかねない。このためフリーWi-Fiで使いたいのだがダメなので、瀋陽では中国移動のデータ通信につなげ、溜まったGメールを読んだ。ただしデータ通信は数量制限もあって画像などが出るまでに時間がかかり、料金も心配だ。結局中国で撮影したものをフェイスブックやツイッターに投稿するまでには至らなかった。

 

▽グローバリズムとグーグル

 グーグルはかねてから米国務省や、米国の外交政策を影で動かしているとされるCFR(外交問題評議会)との深い関係が指摘されている。Gメールの膨大な情報も米国の秘密情報機関に提供されているとの疑惑が尽きない。フェイスブックも同じような状況だ。米国流グローバリズムと、米国の覇権主義との境界は曖昧だ。

 英国の国民投票は米国中心のグローバリズムについて考えさせられる契機にもなるので

はないか。投票結果について「グローバリズムかナショナリズムか」「移民と主権」など様々な解釈がなされているが、英国民の過半数(とりわけグローバリズムの恩恵を受けていない大衆)は「経済合理性」よりも、主権を選んだとの説明が多い。そこでいう「経済合理性」とはグローバリズムのことなのか、また「21世紀の不平等」との関係は、など今後重く受け止めなければならない課題に違いない。

 建国以来様々な民族を抱えている中国は、民族紛争が発火しないよう火種に注意を払っていることは間違いない。一方で一党独裁を守るために経済を活性化し、政治的な動きを抑えてきた。こうしたバランスがグローバリズムでどう崩れるのか、グーグルへの規制はそのためと思われるが、Yahooはなぜいいのだろうか。

 

▽スーツケースでは電子機器不可

 いよいよ中国から帰国するという前の晩。団体旅行の事務局から大変なことを聞いた。中国から出国する時、パソコン、タブレット、スマホなどやバッテリー、ケーブル類を預け入れ荷物(つまりスーツケース)に入れていると搭乗時の荷物検査で没収されてしまう。没収だけならいいが(良くはないが)、荷物類を全部調べられ、場合によっては同じ航空機に乗れない恐れがあるというのだ。これも旅行代理店から全く話がなかった。パソコンを持ち込む旅行者が増加している現在、こうした注意は事前に資料等で示すのが普通だと思うが配慮がない。

 部屋に戻って、ホテルのWi-FiでYahooのウェブにつなげ、調べたら日本航空のところに次のような警告文があった。「2015年8月16日より、預け入れ手荷物に電子機器(携帯電話、タブレット端末、PCなど)や周辺機器(モバイルバッテリー、電源ケーブル、ボタン電池など)を入れてのお預けは一切できません。空港当局の開披検査が行われて没収となり、返却されることはございません」。これは北京国際空港と上海国際空港についての注意だが、中国全土の国際空港は同じなのだろう。

 もってきたタブレットやスマホはもとより充電用のバッテリー、電源トランス、全ケーブルをデイパックに収納。逆に紙の資料類は一切預け入れのスーツケースに入れて持ち帰った。このような措置は他の国ではしていないのだろうか。

 バッテリーについては以前、ロシアで注意を受けたことがあった。それはリチウムイオン電池だったため。実際ICAO(国際民間航空機関)は今年4月1日より、リチウムイオン電池を預け入れ荷物として旅客機で輸送することを禁止した。衝撃や温度などの外的条件でリチウムイオン電池が発火したり、爆発する恐れがあるためという。機内持ち込み荷物に積めるリチウムイオン電池の総量についても全日空と日本航空はワット時定格量なる規格で160Whを基準に制限している。しかし、この数字がどの程度のものなのか、両社とも明確な表を出しているわけではない。もう少し親切な情報があってしかるべきだろう。

(2016年6月29日)