啄木鳥no.39株価乱高下の裏に米の盗聴システム?

日銀マイナス金利発表時の疑惑

 

 日銀が129日に打ち出した「奇策」(翌30日付朝日と読売の見出し)、マイナス金利の導入は経済だけでなく日常生活に波紋を呼んでいるが、証券会社に勤める知り合いから29日に起きた東証株価の乱高下の背景と、結果として「外資が一番儲けた」という話を聞いた。マイナス金利の情報は黒田東彦総裁が記者会見で発表する数十分前に日経電子版には「マイナス金利議題に」という速報が流れていたという。その情報源を含め「0コンマ5秒で株価が動いていた」という乱高下のバックには、米国などが世界中で行っている通信傍受ネットワーク「エシュロン」も見え隠れするらしい。新聞などはほとんど報じていないが、本当だとしたら国民の財産が外資にむしり取られている恐怖を感じざるを得ない。

 

超高速回転取引で乱高下

 当時の新聞記事を総合すると、29日午後零時半すぎから東証の株価が急上昇。一時590円の上げ幅となった。その後、逆に300円ほど急降下。結局、終値では前日比476円高で終えた。この間の値幅は871円で、「大手銀行株が急落する波乱も起きた」(日経)。日経は「海外ヘッジファンドなどが慌てて買い戻しを急いだ」などと書いていたが、先の証券会社の社員の話とニュアンスが違う。

 

 現在の株式相場はコンピューターに握られている。中でも29日に主役となったのは「アルゴリズム取引」と「フリークエンシー・トレード」という。何のことだかわからないので、野村證券の用語集でみると、アルゴリズム取引とは「コンピューターが株価や出来高などに応じて、自動的に株式売買注文のタイミングや数量を決めて注文を繰り返す取引」をいい、フリークエンシー・トレードは超高速回転取引ともいい「コンピューターが株価や出来高などの動きをミリ秒(1000分の1秒)単位以下の速度で判断し、超高速の自動発注を繰り返して大量売買する取引」とのことらしい。機関投資家とかヘッジファンドなどが中心になっており、「私たちのように個人のお客さんと相対して、日銀決定の意味などを説明していたら、状況に追いつかない」と個人取引中心の証券マンは言う。東証は世界で最も流動性が高く、バクチ場のような取引所になっているらしい。

 

▽盗聴システム「エシュロン」でキャッチ?

 野村證券の用語集に書かれているように「株価や出来高などに応じて」超高速取引をしている分には問題はない。問題は、こうした投機的な取引が「キーワード」に反応して行われているらしいことだ。ここで「エシュロン」が登場する。エシュロンとは「米国などアングロサクソン諸国による世界的な通信傍受ネットワーク」(鍛冶俊樹「エシュロンと情報戦争」より)。欧州議会が2001年「個人および商業通信を盗聴する世界規模のシステムの存在について(エシュロン盗聴システム)」と題する最終報告書を公表して世界に衝撃を与えたが、当然の事ながらシステムはこの15年間格段に進んでいるとみられる。

 

 当初は軍事機密に限っていたとされるエシュロンは、欧州議会報告書にも示されているが、「冷戦終結とともに、米国経済の利益を図るために企業や民間情報を盗聴し、経済戦争の新兵器と化している」(鍛冶俊樹)。個人のメール、フェイスブックやlineなどのSNSなどを片っ端から盗聴して、ターゲットとなるキーワードが出た途端、反応して米企業に渡す。今回のような「マイナス金利」というキーワードを入手した瞬間、黒田総裁が記者会見で正式発表する前に、アルゴリズム取引やフリークエンシー・トレードで株価の急上昇が始まり、その後の乱高下を支配した疑いが強い。

 

民主主義の否定が貢献する

 では何故、それだけのスピードで株式売買ができたのか。129日の日銀金融政策決定会合にはいつものように、9人の審議委員のほか財務相と総務省から2人の副大臣が出ていた。2人の副大臣が外に出た後の評決で、賛成5反対41票差でマイナス金利の導入が決まった。ギリギリの差なので、本来ならひっくり返される可能性があるはずだが、そうならないのは安倍晋三首相の「過半数取れば何でも可能」主義によるものだと古手の政治記者が解説する。

 

 自分の意になるように人を入れ替えて、多数決だけが民主主義とばかりに推し進める。日銀は201410月末の金融政策決定会合でも54の「僅差」で黒田バズーカなる金融緩和策を決めたが、過半数になるよう人事を決めていたので、提案した途端承認という手はずになっていたという。「NHKも同じ手法だ」とのことだ。

 

 今回の金融政策決定会合でも、決定前に会議室を後にした2人の副大臣の1人が「マイナス金利実施の提案が出た」と電話やメールでもすれば、その途端エシュロンを通じてキーワードを入手した外資のヘッジファンドなどのコンピューターは「導入決定」と読んで、予め組んでいたプログラムに従って大量の売買をした可能性がある。

 

 2人の副大臣の1人も外に漏らしたなどとは決していわないだろうし、例え漏らしたとしても議題を伝えただけと思っている可能性が強い。この辺りは発表前に速報した日経電子版が明らかにして欲しいが、このままではインサイダー取引に当たるとは言い難い。しかし安倍首相が作り出した多数決による強硬路線があってはじめて、米国主導の盗聴システムが特定用語にいち早く反応できるのであり、結局は外資にむしり取られていることを認識するべきだろう。

 

(2016年2月19日)