大山は鳴動せず、鼠(運搬船)一匹もなし?

見かけ倒しの河野太郎行革相・原子力検証結果

 

 河野太郎行政改革相が初めて中心になった政府の行革レビュー(「行政事業レビュー」の公開検証)。第2次安倍政権になって初めて原子力予算が俎上に載ったが、他の事業も含めて「踏み込み不足」(1114日付け東京新聞)が目立ち、予想通りの見かけ倒しに終わった。

 

 朝日新聞はレビュー前日の10日付けの社説で「行革公開検証 もんじゅが焦点だ」として、もんじゅを俎上に載せるよう求めた。「せっかくの機会である。交付金に留まらずに、全体像に切り込んで、行革面から政策の不合理と廃炉の妥当性を示して欲しい」。「もんじゅの維持費は年間200億円。200億円を先送りのコストとして認める理由はない。」と指摘した。原子力規制委員会が文部科学省に対して、もんじゅの運営主体の交代を求める勧告を行うと公表した後だから、当然だろう。

 

 しかしもんじゅはレビューの対象ではないという。12日付け毎日新聞によると「公開検証は国策の是非を問わない方針。政府がエネルギー基本計画に掲げる核燃料サイクル事業の必要性は議論の対象外で、もんじゅについても存廃は議論されなかった」という。最大の無駄遣いを対象から外しては、レビューもその程度だったのは頷ける。

 

 出てきたのは、東京新聞などがスクープしていた核廃棄物運搬船。確かに無駄遣いそのものだが、無駄遣いとされている運搬船維持管理のための委託費は年間12億円。もんじゅの200億円に比べると、税負担ははるかに低い。しかし新聞やテレビ各社は専ら運搬船を追いかけ。菅官房長官も早速、運搬船の廃止について言及した。「トカゲの尻尾切り」のような分かりやすい構図だ。

 

 公開検証の初日には、休眠核施設として運搬船の他、もんじゅと密接に関係している再処理のリサイクル機器点検施設(RETF)も俎上に載ったが、東京新聞以外はきちんと書いていない。その東京新聞14日付け紙面によると、切り捨てる「尻尾」のはずの運搬船について、有識者たちはコスト削減を前提に当面の使用を認めた。RETFにいたっては文科省の判断を追認しコスト意識を求めただけだったという。

 

 そもそもレビューは民主党政権の事業仕分けと異なり、言いっ放しのものらしい。ガス抜き以外の何ものでもない。ガス抜きにもならなかったことに安堵したのか、読売新聞は14日付けの「行革は冷静な議論で進めたい」とする社説で、河野行革相の姿勢を「穏当な仕組み」と賞賛。もんじゅを対象から外したことと踏まえ、安倍政権の核依存度を浮き彫りにする結果となったようだ。

20151116日)