三菱は原発で定められた安全検査手順違反? 加圧水型の蒸気発生器事故で、米原発は廃炉に  

 「啄木鳥」26号「川内原発の再起動」で、九州電力川内原発の再稼働で最も懸念される事態は、2次系の復水器系統で起きた配管破損と、1次系の蒸気発生器内で想定される伝熱管「ギロチン破断」事故と記載したが、その蒸気発生器について気になる話が8月29日のダイヤモンドオンラインにあった。

 

 川内原発と同じ加圧水型軽水炉のカリフォルニア州のサンオノフレ原発で三菱重工業製の蒸気発生器に破損事故が発生した際、米原子力規制委員会(NRC)が神戸にある三菱重工の製造工場に抜き打ちで査察を実施。三菱は定められた手順で安全検査を行っていなかったことを突き止めた、という情報だ。

 

 この話が載ったのは「9300億円の訴訟を起こされた三菱重工!」「日米原発報道での一番の違いとは?」と題する、ノンフィクション作家の広瀬隆氏と元NHKアナウンサーの堀潤氏のダイヤモンドオンライン対談記事。

 

 サンオノフレ原発は2010年と11年に、三菱重工業製の蒸気発生器に交換して運転を再開した。しかし放射能を含んだ蒸気が原子炉建屋内に噴出するという事故があり、検査したところ3000本以上の伝熱管に1万5000カ所もの早期摩耗が見つかった。サンオノフレ原発を運営するエジソン社は13年に廃炉を決定。今年に入って9300億円もの賠償を三菱に求めている。

 

 堀氏は対談の中で、米国留学中の2012年に、サンオノフレ原発再稼働問題を取材した経験を披露。原発を運営するエジソン社と三菱重工業が伝熱管破損事故後、蒸気発生器の設計変更を発表したのを受け、NRCは三菱の神戸工場を査察したという。

 

 NRCは査察の結果、再設計した配管の安全検査の手順に不備が見つかったとして、三菱以外の第三者機関による再検査の実施を求めた。三菱側は「確かに手順を飛ばした部分はあるが、安全管理上は全く問題ない」と主張したが、NRCは三菱重工業側とメールでやり取りした往復書簡をウェブサイトで公開、地元メディアは一斉にこの問題を報じた。これで廃炉が決定的になったというのが、堀氏の説明だ。

 

 堀氏が語るNRCによる抜き打ち視察(調査)について、原発問題に詳しい広瀬氏も「日本はNRCの動きはまったく報道されていません。本当ですか?」と応じている。堀氏によると、米国ではNRCが会見を開き、ほとんどの局が報道した。しかし日本では全く報道されなかったという。

 

 2012年といえば、日本では東電福島第一原発事故の翌年。普通だったら、我が国の特派員はこうしたニュースを細大漏らさず掘り起こし、報道していたはずだ。原発問題が専門の広瀬氏が「知らなかった」というのも不思議だが、なぜ堀氏以外は取材し報じようとしなかったのか。

 

 川内原発の蒸気発生器も三菱重工業製だ。安全検査手順は大丈夫なのか、心配される。なおかつ堀氏の話では、安全検査手順に不備が見つかったとNRCが指摘しているのは、伝熱管破損事故後に再設計した蒸気発生器であり、廃炉になってしまったので納入されていないと思われる。川内原発で蒸気発生器を交換したのは2004年とされているので、川内の蒸気発生器は米国のサンオノフレ原発と同じか、もっと古い設計に基づくものと想定される。

 

 そんな蒸気発生器で本当に大丈夫なのか。時限爆弾の動きを止められるのか。当事者は堀氏の主張にきちんと答える必要がある。

2015830日)