環境調査を逃れ、九州や中四国から大量の土砂運搬を計画 沖縄県・辺野古新基地建設計画の裏で (沖縄・辺野古ノート1)

 沖縄本島北部・山原地区の名護市辺野古で、沖縄県の強い反対にもかかわらず強行されている新基地建設。本土では政府に都合のいい情報以外ほとんど報道されず、従ってほとんどの国民が知らされていない問題がいくつも出ている。その一つが、滑走路を海上に作るため海面の埋め立てに使う土砂の問題だ。

 その土砂は、奄美大島や瀬戸内の島などから大量に運ばれることになっているという。その量2100万立方メートル、10トンダンプに換算すると350万台分というとんでもない量だ。うち奄美大島を含む鹿児島県からが1700万立方メートルとされている。

 なおかつ、法律の裏をかくように環境影響評価(アセスメント)を逃れ、国民の監視を受けずに埋め立ててしまおうという作戦らしい。運び出されるのが山を切り崩した土砂ならアセスメントの対象だが、砕石の副産物、あるいは「ゴミ」である岩ズリの「ストック」を運ぶのならアセスメントの対象にならない、との理屈だそうだ。

 奄美で反対・監視活動をしている人の話では「一山2000万円で売ってくれ」という話が出ているとのこと。普段は値などつかず、一生に一度あるかないかという誘いという。こうした動きと連動するように採石場が拡大し、居住地に近づいている。

 問題は既に7、8年前から、現地で土砂取得の話が出ていたということだ。

 7、8年前とはちょうど辺野古にV字型滑走路建設が決まったころ。年表を見返すと、2005年10月28日の日米2プラス2でV字型滑走路を決定。翌06年3月、沿岸案撤回県民大会に3万5000人集まった。07年8月に防衛省はアセス方法の公布をしている。08年7月、県議会は「辺野古新基地建設撤回決議」を採択。そして09年9月、「最低でも県外」を掲げた鳩山由紀夫を首班とする民主党政権が発足した。そういう時期である。

 2013年3月24日付で共同通信は、「アセス回避が『絶対条件』 辺野古埋め立て土砂調達で沖縄防衛局」と題する調査結果を報じた。

 内容は、情報公開請求で入手した沖縄防衛局の内部文書によって「環境影響評価(アセスメント)を実施せずに済む方法を優先していたことが分かった」というもの。共同通信が入手したのは「普天間飛行場代替施設建設事業資材調達委員会」なるものの議事録。委員の名前は黒塗りされているが、2009年6月30日の委員会では、委員からも「アセスにひっかからないこと」という発言がある、という。たぶん、こうした裏の協議内容は民主党政権にはひた隠ししていたのだろう。

 日付に注目して、あらためて見直してみると、外務省や防衛省防衛局などの官僚は、地元の民意どころか、政権の意向も無視して動いていたことの証左といえる。自信があるのなら「委員」も姿を現し、発言の意味などを示すべきだと思うが、こうした「委員」や「有識者」は黒塗りの影に隠れて、信を問おうとはしない。

 防衛局が土砂運搬を図っているところは、奄美大島の他、徳之島、鹿児島県佐多岬、五島列島、天草、門司、瀬戸内海(小豆島)など多方面に及ぶ(環境団体の「岩ズリ搬出予定ルート」参照)。人口も少なく、主要産業が採石というところが多い。奄美大島では、港に岩ズリを運び込むと法律上様々な問題が生じる恐れがあるため、海岸にベルコンベアーを設置し、沖合に停泊している砂利運搬船に流し込むという考えが出ているとの話が出ているという。

 琉球新報は4月25日付けで、「鹿児島・南大隅で岩ズリ採石 業者計画、住民に説明会」と題し、採石候補地に挙がっている「佐多岬」地区で、採石業者が今年1月24日、岩ズリ採取計画の住民説明会を行っていたことが分かったと報じた。同記事は、採石供給業者の岩ズリストック量は全体で2500万立方メートルに及んでいるとも伝えている。本当なら「ストック」だけで十分埋め立てに間に合うはずだが、あちこちの山を購入していることとの関連は不明だ。

 いずれにしても、かつてないほどの広域的な環境破壊に違いない。しかし、公益財団法人日本自然保護協会など一部の団体を除いて、大半の環境団体は関心を示していない。関係者によると、ただの無関心というのではない。政府や自治体、財団などから助成金や補助金をもらっている環境団体は「自粛」を決め込んでいるのではないかと推測している。だとしたら、自粛の上にどんな環境を保護しようというのだろうか。

(2015年4月27日)