カテゴリ:戦争



31日 8月 2016
2000年に設立して以来、満州事変から第2次大戦敗戦までに至る、731部隊に代表される日本の医学軍事研究を追求してきた「15年戦争と日本の医学医療研究会」(事務局長・西山勝夫滋賀医科大学名誉教授)が編集した『戦争・731と大学・医科大学~続医学者・医師たちの良心をかけた究明』がこのほど京都の文理閣から刊行された(3600円+税)。本書は「(内地の)大学・医学部・医科大学」「侵略地における医育」「侵略地における大学・医科大学の戦後の学位授与」などからなり、戦後明るみに出た731部隊による細菌兵器開発のための人体実験・生体解剖や九州大医学部の米B29搭乗兵士俘虜生体解剖だけでなく、戦前から戦中の日本国内だけでなく占領した地域(特に旧満州や台湾)での医科大学についても考察している。 西山事務局長は2000年以降、ハルビンや瀋陽などを積極的に訪問。731部隊の実態解明を進めており、2014年には731部隊解明と日本医学会での問題点などをまとめた『戦争と医学』を執筆。2015年には同研究会編による『MO MORE 731』(いずれも文理閣刊)を世に出してきた。 日本国内では特に安倍政権になって大学の軍事研究への参加が公然と取りざたされ、日 本学術会議も「自衛目的に限って」とする軍事研究への参加を議論するようになった。しかし戦前の日本も海外侵略にあたって、一貫して「自衛」といい「平和目的」を掲げてきた。731部隊が本拠を置いた満州は「日本の生命線」とされ、街で拉致した中国人などに対する人体実験も「日本を守る」として正当化。戦後も十分な検証や総括もされずに至っている。同じように非人道的な実験を行った「ナチ医学」に対して徹底的な検証・追求を行ったドイツとの大きな違いだ。 戦前・戦中の軍事研究には天文学的な国費が投入されたとされているが、敗戦に際して ほとんどの資料が焼却処分されてしまい全容は分かっていない。医学・医療についても 「(731部隊などの研究が)戦後の日本の医学に一定の学問的寄与をした」などの見解を示す研究者はいるが、具体的な例証ははっきりと示されたわけではない。何より核開発に典型的にみられるように、ほとんどの軍事科学研究は「軍民両用(デュアルユース)」であり、結果として命を救ったことがあったとしても、それで免責されるわけではない。医学に携わる立場の筆者たちによる15年戦争期の大学と医学教育の分析は今後の「医の倫理」を考える上で重要な示唆を与えるのではないか。 2016/8/30 文理閣の所在地は〒600-8146 京都市下京区七条河原町西南角 電話075-351- 7553。2000年に設立して以来、満州事変から第2次大戦敗戦までに至る、731部隊に代表される日本の医学軍事研究を追求してきた「15年戦争と日本の医学医療研究会」(事務局長・西山勝夫滋賀医科大学名誉教授)が編集した『戦争・731と大学・医科大学~続医学者・医師たちの良心をかけた究明』がこのほど京都の文理閣から刊行された(3600円+税)。本書は「(内地の)大学・医学部・医科大学」「侵略地における医育」「侵略地における大学・医科大学の戦後の学位授与」などからなり、戦後明るみに出た731部隊による細菌兵器開発のための人体実験・生体解剖や九州大医学部の米B29搭乗兵士俘虜生体解剖だけでなく、戦前から戦中の日本国内だけでなく占領した地域(特に旧満州や台湾)での医科大学についても考察している。 西山事務局長は2000年以降、ハルビンや瀋陽などを積極的に訪問。731部隊の実態解明を進めており、2014年には731部隊解明と日本医学会での問題点などをまとめた『戦争と医学』を執筆。2015年には同研究会編による『MO MORE 731』(いずれも文理閣刊)を世に出してきた。 日本国内では特に安倍政権になって大学の軍事研究への参加が公然と取りざたされ、日 本学術会議も「自衛目的に限って」とする軍事研究への参加を議論するようになった。しかし戦前の日本も海外侵略にあたって、一貫して「自衛」といい「平和目的」を掲げてきた。731部隊が本拠を置いた満州は「日本の生命線」とされ、街で拉致した中国人などに対する人体実験も「日本を守る」として正当化。戦後も十分な検証や総括もされずに至っている。同じように非人道的な実験を行った「ナチ医学」に対して徹底的な検証・追求を行ったドイツとの大きな違いだ。 戦前・戦中の軍事研究には天文学的な国費が投入されたとされているが、敗戦に際して ほとんどの資料が焼却処分されてしまい全容は分かっていない。医学・医療についても 「(731部隊などの研究が)戦後の日本の医学に一定の学問的寄与をした」などの見解を示す研究者はいるが、具体的な例証ははっきりと示されたわけではない。何より核開発に典型的にみられるように、ほとんどの軍事科学研究は「軍民両用(デュアルユース)」であり、結果として命を救ったことがあったとしても、それで免責されるわけではない。医学に携わる立場の筆者たちによる15年戦争期の大学と医学教育の分析は今後の「医の倫理」を考える上で重要な示唆を与えるのではないか。 2016/8/30 文理閣の所在地は〒600-8146 京都市下京区七条河原町西南角 電話075-351- 7553。
23日 5月 2016
 中国黒竜江省ハルビン市平房区。「東洋の小パリ」とうたわれ、日本人の文人や音楽家が旅行したハルビン市の中心街から約20キロ離れた荒野に、関東軍第731部隊の本部が極秘に造られた。1980年代まで、その詳しい所在地は関係者だけの秘密だった。...
20日 5月 2016
 5月の連休を利用して「15年戦争と日本の医学医療研究会」(戦医研)などが主催した「731日本軍細菌戦部隊などの戦争遺跡を巡る旅」に参加、関東軍731部隊の本拠地があった中国黒竜江省ハルビン(哈爾浜)や、9.18事変(満州事変)の発端である柳条湖事件が起き、連合軍捕虜収容所などがあった遼寧省瀋陽などを見て回った。...
11日 8月 2015
米国最大の歓楽街ラスベガスから車でわずか1時間強の砂漠に、米エネルギー省のネバダ核兵器実験場がある。1990年半ばまでは地下核実験を、97年からは「臨界前核実験」といわれる実験を続けている施設だ。...
24日 6月 2015
在京の新聞各紙は神奈川県版にしか掲載せず、テレビは元々報じていなかったようなので大半の国民には情報が流れていないが、安保法制(いわゆる戦争法)の国会審議最中の6月18日、米軍横須賀基地に米軍のイージス艦が入港した。米国が進めるアジア太平洋地域重視戦略「リバランス政策」の一環だという。...
17日 6月 2015
「韓国軍憎悪碑」というものが、ベトナム戦争の激戦地だった村落に点在しているという衝撃的な事実を、元ベトナム戦争参戦韓国軍兵士から初めて聞いた。「韓国軍の罪を何代にもわたって記憶する」と書かれているという。...
08日 4月 2015
政府は1月9日、内閣の宇宙開発戦略本部会合で宇宙基本計画を決定した。パリでフランスの風刺週刊紙が襲撃され、12人が死亡するという事件が起きた(日本時間7日夜)直後だっただけに、一般にはあまり話題になっていないが、見逃せない問題がある。会合で安倍首相は「(この新計画は)歴史的な転換点になるもの」と自賛したというのだ。ただ、何が転換点なのか。 メディア各社の報道を見る限り不明な点が多い。しかし宇宙軍拡と絡んでいるだけに、懸念すべき決定とみなさなければならない。  各社の報道を見ると、「新計画は、安全保障面で、日米宇宙協力を強化すると明記」(産経)、「宇宙安全保障の確保を最重点課題に位置づける」(毎日)、「安全保障能力の強化に向け」(NHK)などの言葉が並んでおり、安全保障がキーワードとなっていることは間違いない。  しかし「安全保障」という言葉は2008年に宇宙基本法が制定された時に「安全保障に資する」条項が盛り込まれている上、既にその時点でいわゆる偵察衛星(政府の造語では情報収集衛星)が打ち上げられている。「宇宙安全保障の確保」というだけでは、安倍首相も「歴史的な転換点」と胸を張ることはないと思われる。  今回まとめられた基本計画は、宇宙安全保障だけでなく、商業面での国際競争力強化も強調されているので分かりにくいが、安保関係では「地上の位置情報を高い精度で測る『準天頂衛星』を現在の1基から4基に、軍事施設などの画像を収集する情報収集衛星も現在の4基を増やす」(NHK)という内容らしい。単に数を増やすというのなら「転換点」にならないので、外に出ていないものがあるに違いない。  それを考えるためには、日本の宇宙開発の流れを見ておく必要がある。日本は東大航空宇宙研究所から文部科学省宇宙科学研究所につながる科学衛星主体の流れと、科学技術庁の特殊法人宇宙開発事業団の商業衛星開発の流れがあった。1969年、宇宙開発事業団の発足時に衆参両院は「宇宙開発は平和目的に限る」との決議を行い、2つの機関は共に平和目的に限った宇宙開発を進めてきた。  流れが変わったのは1998年。北朝鮮がミサイルの打ち上げに成功したことによる。政府は偵察衛星の開発を急ぐとともに、航空宇宙技術研究所を含めた3機関を統合し、2003年独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)を発足させた。この時のJAXA法には「宇宙の平和利用に関する基本理念にのっとり」(第4条)との文言が入るなど、平和目的以外の開発研究ができないような仕組みになっていたが、2012年のJAXA法改正で宇宙基本法にあわせる形で「平和の目的に限り」という条文が削除された。この2012年は内閣に宇宙開発戦略本部が設置され、内閣府には宇宙政策委員会と宇宙戦略室が設けられた年だ。  当時は民主党政権だったが、古川元久宇宙政策担当相は朝日新聞のインタビューに答えて「安全保障も宇宙開発利用の重要な目的としつつ、憲法の平和主義の理念にのっとって行われると明確にした方が、むやみやたらと拡大解釈されないためにも大事だ」と述べていた。流れからするとどうも、この「憲法の平和主義の理念」が本当のキーワードではないだろうか。  今回の基本計画は宇宙政策委員会が約2カ月でまとめたものという。2012年の全面的な改定からまだ時間が経っていないにもかかわらず、短期間でまとめさせた理由は何か。言うまでもなく、昨年7月1日に閣議決定した「集団的自衛権の行使」容認が要因だろう。  さらに日米両国政府は昨年10月8日、日米防衛協力のための指針(ガイドライン)見直しの中間報告を発表した。この中間報告で「日米両政府は宇宙およびサイバー空間の安定および安全を強化する決意を共有する」として、「関連する宇宙アセットならびに各々のネットワークおよびシステムの抗たん性を確保するよう取り組む」「宇宙の安全かつ安定的な利用を妨げかねない行動や事象および宇宙における抗たん性を構築するための協力方法に関する情報共有を含む」などの文言が踊っている。  今回の宇宙基本計画はまさに日米ガイドラインに沿って見直したものといえる。新ガイドラインは日本が海外で武力行使を可能にするための前提で、ガイドライン決定と各種国内法の改正が集団的自衛権行使の前に必要とされている。  集団的自衛権と日米ガイドラインに沿って、どんな計画を持ち出してくるのか。小惑星探査機「はやぶさ2」の打ち上げや、今年5月に宇宙に飛ぶ新宇宙飛行士が異様なほど話題になっているが、科学のベールをかぶった後ろで危険な「防衛協力」が進もうとしていることを忘れてはならない。