啄木鳥no.18                                             本当に「世界で最も厳しい」原発規制基準か 日本の原発維持に大きな影響を与えた福井地裁決定

福井地裁(樋口英明裁判長)が415日下した関西電力高浜原発3、4号機の再稼働を差し止める仮処分決定は、樋口裁判長が昨年下した関電大飯原発運転差し止め判決に続いて、日本の原発維持か否かに大きな影響を与えている。

 樋口裁判長は大飯原発運転差し止めに当たって原発事故は「国富の喪失」という見解を示した。今回の高浜原発再稼働差し止め仮処分決定では、原子力規制委員会の審査を厳しく批判した点が最も重要だ。

 安倍晋三首相や菅官房長官はオウムのように「日本の規制基準は世界で最も厳しいレベルであり、国際的にも認められている」と繰り返してきた。田中俊一規制委員長は15日の記者会見でも、同じ文句を繰り返している。しかし小泉純一郎元首相が何度も指摘しているように「世界で最も厳しい」内容について、きちんとした説明が行われていない。今回の仮処分決定では「新規制基準は合理性を欠く」とまで指弾された。

 ただ、日本の裁判が今後も福井地裁と同じ方向に進むのかとなると、法曹界の大半の人が疑問を投げかけている、という。現在の日本を覆う「人ごと」「事なかれ」「自粛」ムードが各裁判官に押し付ける圧力は、半端なものではないとみられるからだ。一方で東電福島第一原発事故の惨状をみた後では、「基準に合っているから大丈夫」となかなか断定できない。「大丈夫」と宣言し、実際に再稼働してから福島第一原発のような事故が起きたら、知らん顔していられるか、「国富の喪失」の責任の一端を担えるか。危険だというのは簡単だろうが、その後の身の振り方を考えると樋口裁判長のような判断をするのも恐ろしい。それが、各地裁で争われている再稼働差し止め裁判を担当する裁判官の偽らざる意識だろうか。

 それでも次の決定が間もなく来る。鹿児島地裁で争われている川内原発再稼働差し止め仮処分裁判だ。川内原発では、原子力規制委はまだ保安規定と工事計画が未提出だったにもかかわらず再稼働にゴーサインをした。桜島火山はじめ近くの火山で巨大噴火が心配されるが、規制委は「川内原発の運転期間はせいぜい30年間。この間に巨大噴火はないだろう」との推測で、特段の対策を求めていない。それどころか、福島第一原発事故で決定的な役割を果たした「免震重要棟」もまだ設けられていない。フィルター付きベントもまだだ。これらは差し止め仮処分が下された高浜原発と同じ状態だ。なにより避難計画もまともなものが作成されていない。

 鹿児島地裁の仮処分決定は22日に予定されている。こんな状態で、どんな仮処分を出すのだろうか。            '25年4月13日