啄木鳥no.20                                                     急に活発になった「ドローン」の動き               軍事優先意識で過剰規制も

首相官邸屋上に着陸(それとも墜落?)していたのが見つかって以来、15歳の少年による善光寺での墜落が判明したことも手伝って、小型の無人飛行機「ドローン」に対する関心が急速に増しているようだ。千葉県の幕張メッセで5月20日から23日まで開かれた「第1回国際ドローン展」は関心の高まりを示すように連日多くの人で賑わい、テレビ局も報道からワイドショーまで入り乱れて取材する騒ぎとなった。

 国際ドローン展には国内外35社が出展。デモフライトも行われたが、中心になったのは野波健蔵・千葉大学特任教授率いる「ミニサーベイヤーコンソーシアム」。千葉大学を中心に企業、自治体、官公庁、研究機関などが連携して、完全自律型電動マルチローターヘリコプター(ミニサーベイヤー)の普及を目指す。純国産技術でドローンを量産するという計画で、機体メーカーは福島第一原発事故で放射能汚染された福島県南相馬市小高区に工場を建設して量産すると発表している。

 ドローンの特長の一つが4つないし6つのプロペラを持っていることだ。通常のヘリコプターのようにプロペラが2つのものよりも安定性が増し、空中でのホバリングも安定してできる。このためドローン飛行の目的として、写真や動画などの撮影が最も多い。3軸制御やGPSを使った位置照合などの要素技術がスマートフォンの発達で超小型化、精密化していることも、ドローンの進化を手伝っている。その半面、動力をモーターに頼らざるを得ないのが現状で、どの機種も搭載バッテリーの能力から飛行時間は10数分間に限られる。

 小型、無人、簡単に飛行させることができるという利点から、既に災害現場の状況確認などに使われているほか、報道やドラマでの撮影でも使われ始めた。搭載する撮影機材によってドローンの大きさも変わってくるが、放射線量が高すぎて人が入ることのできない福島第一原発事故の原子炉建屋の内部状況調査では、有線で母機とバッテリーをつないで飛行させるなどの工夫も進められているという。

 ドローンは元々、米軍が無人偵察機や無人攻撃機として開発したものとされる。それが玩具界に流れて、海外では一挙に広がった。私が初めてドローンの名を聞いたのは2年ほど前、アップル社のページだった。iPhoneiPadで操縦できる4枚プロペラのマルチコプターという触れ込みで売り出されたが、その頃には欧米では様々な空撮写真がSNSにアップされ、自由化を求めるアラブ諸国のデモの様子なども空撮されていた。

 この流れはインターネットを彷彿させる。米国が軍事部門の情報流通や高速計算などを行うため、いくつものコンピューターを結んだネットワークからインターネットは始まった。パソコンの高度化とともに、インターネットは当初の文字を打ち込んでネットをつないでいた状況から、クリック一つでどこにでもつながるようになった。パソコンだけではなく、スマホやタブレットでもインターネットは簡単に使える。

 国際ドローン展の盛況を見ていると、ドローンもインターネットと同じように「化ける」可能性は高い。そんな中で懸念されるのは、日本政府の規制第一主義と当局の取り締まり強化の動きだ。

15歳の少年は、浅草三社祭でドローンを飛ばすと何かで書いただけで逮捕された。政府の規制策に対する動きを、マスコミは連日のように報じている。それも、規制が当然といわんばかりに。日本政府は「集団的自衛権行使」を公言し、軍事技術の強化発展を進めており、大学の研究者に軍事技術開発への参加を呼びかけている。一連の規制措置は、市民のドローン活用は無人偵察機や無人攻撃機開発の妨害となるとみているのではないかと疑わざるを得ない。

 少年が飛行させた「Parrot Bebop Drone」はアップル社で買うと1セット13万円もする。そんな高価な「玩具」を次々持ち込んでいる少年の背景には気になる点もあるが、犯罪の予防として逮捕というのは、戦前を想起される危険な状況だ。国際ドローン展を視察した自民党の小泉進次郎議員は記者の質問に答えて「悪用を規制で防ごうと思ったら、イノベーションなんか進まない」と公言した。これが普通の認識だろう。

2015523日)