啄木鳥no.6

イラクで拘束された日本人「傭兵希望者?」と、田母神俊雄氏の怪しげな行動

イラクで反政府組織「イスラム国」に日本人が拘束されたとされるニュースが8月後半のテレビや紙面に踊った。この拘束された「湯川遙菜(ハルナ)」という男性の存在がニュースになったのは、8月17日の外務省の発表による。尋問されている様子を写したユーチューブの映像や本人が自動小銃のようなものを持った写真などが次々と公開され、日本のマスコミが大騒ぎとなった。大騒ぎを決定付けたのが、元航空幕僚長で極右の田母神俊雄氏とのツーショット写真だった。この時点で湯川氏はジャーナリストや医師ではなく、日本の民間軍事会社「PMC JAPAN」代表を名乗り、日本人傭兵と喧伝された。 日本人傭兵の存在は珍しいが皆無ではない。イラクで日本人傭兵が戦死したというニュースは2005年にもあった。しかし、この時は戦死したのが元自衛官だったにもかかわらず、あまり話題にはならなかった。  今回の事件が特異なのは、報道の仕方が2004年のイラク誘拐・人質事件の時と極端に異なっていることだ。特に民放テレビの論調では、人質事件の時は「自業自得」とか「自己責任」という乱暴な言葉がこだましていたのに対し、湯浅氏に対する報道ぶりが好意的とまではいかないにしても「冷静」な報道に終始しているようにみえる。2004年には誘拐された被害者の実家をテレビカメラが取り囲み「報道被害」という深刻な問題を残したが、マスコミは日本新聞協会も含めて総括していない。  「湯川」事件のニュースは広島市の土砂崩れ被害に押されるように姿を消す。しかし、そもそも事実関係が当初からはっきりしていない。外務省の発表が最初だったはずだが、その後どのようなフォローをしているのか。少なくとも紙面を見る限り要領を得ない。にもかかわらず民放テレビの当初の扱い方は異様だった。「田母神」という言葉におびえているかのようにも感じさせるニュース自体の不気味さは、ここにある。  さらに、この「事件」の不気味さを増しているのは「田母神」だけでなく「中東」「安倍政権の集団的自衛権」「イスラエルを始めとする武器輸出計画」などの動きと妙にシンクロしているためだ。  田母神氏は湯川氏との関係について「何千と撮ったツーショット写真の一つで、面識ない」と否定しているという。「何千と撮った」という主張自体は間違っていないだろう。しかし本当に面識がないのか明確ではない。というのも、田母神氏が他国への戦争を志向していることは間違いないからだ。ただ対中や対韓で過激な発言を繰り返しているが、イラクや中東にどう関与しているのか分からない。  ところが、一連の新聞スクラップをたどっていて、東京新聞のある記事に当たった。8月6日付朝刊に掲載された「ガザ攻撃非難の中 田母神氏とイスラエル国防視察」という民間ツアーの記事だ。記事によるとツアーは東京の「テマサトラベル」というイスラエル・中東専門の旅行会社が企画、田母神氏を団長に9月10日から7泊8日でイスラエルを訪問。イスラエルの空軍司令官と会見し、空軍基地などを見学して回るという。イスラエルの諜報機関モサドの元長官との会食も予定されているらしい。  残念ながらテマサトラベルのホームページ上には田母神団長以下のツアーは紹介されていないので、実際に訪問するのかどうか、どんな人たちが参加するのか分からない。しかし相当にきな臭いツアーであることは間違いない。  こうした一見すると関係していないような話が、実は裏で結びついているのでかと見ておく必要がある。