啄木鳥no.8

白紙投票は誰が扇動しているのか?

 最初に、新聞でその記事を読んだ時に強い違和感と、何とも言えない「いかがわしさ」を感じたことを覚えている。

 掲載されたのが朝日か毎日だったか、また前回の衆院選時だったか参院選時だったかも定かではないが、異様な内容だったことが記憶にある。

 確か、初めて投票に行くか行かないか迷っている青年に、教師か先輩だったかが白紙投票を勧め「白紙投票は立派な批判」と主張。書いた記者も、その主張に賛同している内容だった。

 しかし、そもそも「白紙」というのは後に「委任」が続く言葉ではないのか。「白紙を投じて反対(あるいは批判)する」というのは聞いたことがない。さらに「白旗」となると降伏のサインとみなされる。それを「立派な批判」と強弁することに違和感があったのだ。

 それとほぼ同じ内容のキャンペーンが今回の総選挙になって、ネットで横行していることを知った。キャンペーンを張っているのは「日本未来ネットワーク」という謎の集団らしい。主張は書いてあるが、どんな組織なのか全く明らかにしていない。

 ウェブではまず「黙っていないでNO!と言おう。」という文字が、女性が親指を下げている写真と一緒に大きく出ている。その横には「投票所に行って、何も書かないで『白票』を投じるのは、投票したい立候補者がいないという意思表示です。その1票にも、今の社会を変える力があります」と書かれている。漫画も掲載され、やたらおどろおどろしい。先の新聞記事では「立派な批判」だったが、さらに「社会を変える力」とまで謳いあげている。

 この意見広告のサイト開設を調べた団体(BUZZAP)によると、この団体がドメインを取得したのは今年1112日。読売新聞が朝刊の1面トップで「増税先送りなら解散 年内総選挙 首相検討」とぶち上げた119日の直後。安部首相がGDPの速報値発表を受けて解散を表明した18日よりも1週間ほど早かったという(いずれもBUZZAP編集部)

 新聞で解散説が出た瞬間から始まったとみなされてもしょうがない「白紙」キャンペーンといえる。しかし公職選挙法では、白票は多事記載などと並んで「候補者の氏名(比例の場合は政党名)を自署しない場合」にあたり、無効投票として計算される(68条)。これに対し当落を決めるのはあくまで「有効投票」で、白票や他事記載などの無効投票を除いた票が法定得票数の分母となる。有権者が票を投じているので投票率にはカウントされるが、それだけである。今年3月の大阪市長選では、投票総数の13.53%が無効票で、そのうち白票は9.04%という結果になったが、この時は市長選自体が異常だった。にもかかわらず「社会を変える力」には到底なっていない。

 立候補者が当選かどうか決まるには、衆院選挙小選挙区の場合1位になることが第一の条件だが、当選に必要な最低限の票数である法定得票数に達しているかどうかが必要条件だ。衆院選では有効投票総数を6で割った数が法定得票数となる。白票のような無効票はカウント外である。白票が役に立つのは、有効投票数を減らすこといえる。例えば100票の投票があって、すべて有効だと有効数は100割る616.6票だが、40票が無効となると10票で済む計算になる。

 にもかかわらず「日本未来ネットワーク」がキャンペーンを張る背景はよく分からないが、文面からは野党攻撃が感じられる。新聞に記事が載った時も苦々しく思っていたが、総選挙が始まってから「白紙」キャンペーンに対する批判がFBで増えてきた。いい傾向にあると期待している。ただ20代、30代中心に国民の無関心ぶりは酷すぎる。「どうせ同じだ」などとうそぶいて投票所に足も運ぼうとしない。日本に徴兵制が施行されれば、最初に戦地に行くのは彼らだろうに。

2014125日)