「啄木鳥」横浜に襲いかかる「バラ色の悪夢」

カジノ誘致が巻き起こす危険な罠

 2017年の横浜市長選挙で「カジノ誘致は白紙」と表明して、カジノ反対の候補を抑えて3選を果たした林文子市長は8月22日記者会見してカジノ誘致を正式に表明した。この表明を受けてカジノ誘致問題を最大の論点とする横浜市会が3日始まったが、林市長は野党の追及を受けて「ていねいな説明」という空虚な答弁に終始。市会は10月16日まで続くが、カジノ関連議案は6日の本会議や、来週の委員会審議などを経て20日の本会議で採決される。林市長は空虚な答弁の挙げ句、自公による強行採決に頼ることになるのか。

一方、初日の質疑で垣間見えてきたのは、カジノの立地候補となっている山下埠頭付近だけでなく、港ヨコハマが旧植民地時代の中国にあった「租界」になるのではという「バラ色の悪夢」だ。

▽自らの試算も示せない市長

 林市長は8月22日の記者会見で、カジノができた場合の経済効果について、建設時に1兆2000億円〜7500億円程度、開設後は1兆〜6300億円の経済波及効果が予想されるとし、年間820億円〜1200億円の増収が見込まれるとのバラ色の未来を示した。

 しかし、この横浜市の「試算」根拠を本会議で質問され「事業者から提供された情報を監査法人と市で精査し根拠のあるものとして示した」と答弁しながら、具体的な根拠については、公表しないことが前提になっているとして説明を拒んだ。

 カジノのような賭博は敗者が金を胴元に吐き出すことで成り立っている。胴元は敗者から受け取った金を勝者に分配するのだが、不思議と最後は胴元に入ってしまう。これは公営ギャンブルの競馬などでおなじみだ。さらに賭博参加者は胴元に入場料である「寺(てら)銭」を払う。こうした胴元に入った金のうち3割を国と自治体が受け取り、7割は胴元に残る。3割のうち国と自治体の割合がどのくらいか明らかになっていないが、増収見込みを示した以上、横浜市には根拠となる試算があるはずだ。

 しかし野党議員が「何人がカジノに行き、いくらすっての税収となるのか」と質問しても、林市長は一切答えず。また別の議員が「自国民が主たる対象ではないか」と質問しても答弁しなかった。同じようにカジノ誘致を表明している大阪府・市は「客の7〜8割は日本人」と推計しているのだから、「持続可能な横浜経済のために国内外から広く観光客を集める」という記者会見での説明とは裏腹にほとんどが日本人となりそうだという推計ぐらい出せそうなのだが、これも推計していないことが分かってきた。

▽自らの試算も示せない市長

 林市長は8月22日の記者会見で、カジノができた場合の経済効果について、建設時に

1兆2000億円〜7500億円程度、開設後は1兆〜6300億円の経済波及効果が予想される

とし、年間820億円〜1200億円の増収が見込まれるとのバラ色の未来を示した。

 しかし、この横浜市の「試算」根拠を本会議で質問され「事業者から提供された情

報を監査法人と市で精査し根拠のあるものとして示した」と答弁しながら、具体的な根拠については、公表しないことが前提になっているとして説明を拒んだ。

 カジノのような賭博は敗者が金を胴元に吐き出すことで成り立っている。胴元は敗者から受け取った金を勝者に分配するのだが、不思議と最後は胴元に入ってしまう。これは公営ギャンブルの競馬などでおなじみだ。さらに賭博参加者は胴元に入場料である「寺(てら)銭」を払う。こうした胴元に入った金のうち3割を国と自治体が受け取り、7割は胴元に残る。3割のうち国と自治体の割合がどのくらいか明らかになっていないが、増収見込みを示した以上、横浜市には根拠となる試算があるはずだ。

 しかし野党議員が「何人がカジノに行き、いくらすっての税収となるのか」と質問しても、林市長は一切答えず。また別の議員が「自国民が主たる対象ではないか」と質問しても答弁しなかった。同じようにカジノ誘致を表明している大阪府・市は「客の7〜8割は日本人」と推計しているのだから、「持続可能な横浜経済のために国内外から広く観光客を集める」という記者会見での説明とは裏腹にほとんどが日本人となりそうだという推計ぐらい出せそうなのだが、これも推計していないことが分かってきた。

▽カジノありきで交通基盤も負担か

 事業者(それも海外の)に丸投げして「バラ色の未来」を描く林市長は、今後具体的に誘致を進めていく際のアドバイザーについて、外部業者と「アドバイザリー契約」を結ぶとしている。しかし、この契約費用は「予算外義務負担」として予算に計上せず、規模も不明なブラックボックスの中だ。丸投げなのだから当然、監査も検証も不可能となりかねない。

 また林市長は、カジノは巨大なIRリゾートの一部でしかないと強調しているが、カジノなしでリゾート開発はできないのかとの質問に対して「展示場などに金がかかる。カジノなしでのリゾート開発は不可能」と答え、カジノありきであることを露呈した。「カジノの来場者が少なくて」と胴元が言えば、他の展示などは後回しになってしまいかねない。

 その一方、カジノへのアクセスについて。現在、元町・中華街駅がターミナルとな

▽カジノありきで交通基盤も負担か

 事業者(それも海外の)に丸投げして「バラ色の未来」を描く林市長は、今後具体的に誘致を進めていく際のアドバイザーについて、外部業者と「アドバイザリー契約」を結ぶとしている。しかし、この契約費用は「予算外義務負担」として予算に計上せず、規模も不明なブラックボックスの中だ。丸投げなのだから当然、監査も検証も不可能となりかねない。

 また林市長は、カジノは巨大なIRリゾートの一部でしかないと強調しているが、カジノなしでリゾート開発はできないのかとの質問に対して「展示場などに金がかかる。カジノなしでのリゾート開発は不可能」と答え、カジノありきであることを露呈した。「カジノの来場者が少なくて」と胴元が言えば、他の展示などは後回しになってしまいかねない。

 その一方、カジノへのアクセスについて。現在、元町・中華街駅がターミナルとなっているみなとみらい線を「カジノまで延伸せよ」、首都高も「専用インターを設けよ」などの要望が出ているが、こうした交通基盤整備の横浜市の負担がどうなるのか。丸々市民の税負担の重荷になりかねない問題に対しても、答えずじまいだった。 

▽治外法権の「租界」に?

 林市長は賭博の非道徳性をどう考えるかと質問され、まともに答えようとしなかったが、何度も答弁を求められ「博打は非道徳でも、悪でもない」と答えてしまった。しかし、賭博はわずかな勝者と多くの敗者を生み出す。補正予算が通ればギャンブル依存症についても研究するというが、誘致を決めてから依存症対策というのは順序が逆でしかない。

 韓国江原道(カンウォンド)にある巨大カジノでは1日平均8000人余の利用者の6割が「賭博中毒者」といい、近くの安宿などに滞在してカジノに通っているという。韓国のカジノは元々外国人専用だったが、規制緩和でカンウォンドは韓国人の入場が認められた結果、現在のように韓国人ばかりとなったという。日本人が来場者の大半となれば横浜でもカジノ周辺だけでなく、市内にギャンブル依存症患者が溢れかねない。

 博打場で胴元に支払う入場料を「寺銭」というようになったのは、博打が原則禁止されていた江戸時代、博打を取り締まる町奉行が入ることのできない治外法権の地が寺社奉行が管轄する寺社だったため、寺社の一角を借りて賭場を開いていたことによるとされている。

 林市長が事業調査から建設、運営までほとんどを外部事業者に丸投げして造ろうというカジノ施設。市民はおろか、行政や議会も検証や監査ができないとなると、山下埠頭付近は治外法権の「租界」となりかねない。ベイブリッジから横浜駅辺りまでの一帯は「インナー・ハーバー」と呼ばれ、カジノで街おこし的な動きもある。しかし横浜市民でも知らない人が多いが、湾内で最大のスペースを取っているのは「ノースピア」あるいは「瑞穂埠頭」と呼ばれる米軍基地だ。瑞穂埠頭に向かい合っている山下埠頭が米国のカジノ業者に占有されるとしたら、横浜港運協会の藤木幸夫会長ではないがヨコハマは死にかねない。

 

 

▽治外法権の「租界」に?

 林市長は賭博の非道徳性をどう考えるかと質問され、まともに答えようとしなかったが、何度も答弁を求められ「博打は非道徳でも、悪でもない」と答えてしまった。しかし、賭博はわずかな勝者と多くの敗者を生み出す。補正予算が通ればギャンブル依存症についても研究するというが、誘致を決めてから依存症対策というのは順序が逆でしかない。

 韓国江原道(カンウォンド)にある巨大カジノでは1日平均8000人余の利用者の6割が「賭博中毒者」といい、近くの安宿などに滞在してカジノに通っているという。韓国のカジノは元々外国人専用だったが、規制緩和でカンウォンドは韓国人の入場が認められた結果、現在のように韓国人ばかりとなったという。日本人が来場者の大半となれば横浜でもカジノ周辺だけでなく、市内にギャンブル依存症患者が溢れかねない。

 博打場で胴元に支払う入場料を「寺銭」というようになったのは、博打が原則禁止されていた江戸時代、博打を取り締まる町奉行が入ることのできない治外法権の地が寺社奉行が管轄する寺社だったため、寺社の一角を借りて賭場を開いていたことによるとされている。

 林市長が事業調査から建設、運営までほとんどを外部事業者に丸投げして造ろうというカジノ施設。市民はおろか、行政や議会も検証や監査ができないとなると、山下埠頭付近は治外法権の「租界」となりかねない。ベイブリッジから横浜駅辺りまでの一帯は「インナー・ハーバー」と呼ばれ、カジノで街おこし的な動きもある。しかし横浜市民でも知らない人が多いが、湾内で最大のスペースを取っているのは「ノースピア」あるいは「瑞穂埠頭」と呼ばれる米軍基地だ。瑞穂埠頭に向かい合っている山下埠頭が米国のカジノ業者に占有されるとしたら、横浜港運協会の藤木幸夫会長ではないがヨコハマは死にかねない。

2019/09/05