「啄木鳥」                                                                     女川原発再稼働に対する県民投票条例案を否決した宮城県議会

行政や議員には「議論を極力行わせないように」が共通認識?

 

3月15日に開かれた宮城県議会本会議は、住民らが求めた東北電力女川原発2号機の再稼働に対する県民投票を求める直接請求を反対多数で否決した(3月16日付け朝日新聞)。

全58議員中議長をのぞく57議員が投票。反対は自民、公明など35人、賛成は野党系の21人自民の1人が棄権だったという。県民投票条例の請求は必要数の3倍にあたる11万1000人の署名で出されていた。

注目すべきは、この議会採決の前に地元河北新報が行った全県議へのアンケートでは条例案賛成が21人、反対が12人、「態度を示さず」が最多の25人だったことだ(2月16日付け河北新報)。

河北新報の記事を直接読んでいなかったが、河北や琉球新報と提携している東京新聞が両紙に載っている投書を定期的に転載しており、その中で県民投票条例に対するアンケート結果についての論評があった(3月5日付け東京朝刊「つながるオピニオン」「住民投票 自立した判断を」)。

この中で投書氏はアンケート結果について「予想通りと感じた」と嘆き、「福島第一原発事故から間もなく8年になるが、何も変わらない社会にいら立ちを覚える」と怒りを示している。投書氏が嘆き怒っているのは特に「態度を示さず」という議員たちに対してだろう。なぜならアンケートでの県民投票条例賛成者と実際の投票での賛成者は同じだからだ。反対を示した議員もおなじようにブレてはいないようだ。アンケートで最大だった「態度を示さず」議員に対して、投書氏は「勢力の大きなものに頼った方が身は守れるが」と書き、自分の目や耳で確認して、しっかりと考えることをしていないのではないかといぶかっていた。

条例ができたから即、女川原発再稼働不可となるものではない。11万人余もの署名を無にしないためには、条例は条例として可決し、県民投票をやってみればいいはず。それなのに県民投票を拒否するのは、原発の是非を論議されるのが嫌だということに他ならない

東日本大震災から8年目の3月11日、経団連の中西宏明会長(日立製作所会長)は記者会見で、原発の再稼働をめぐる国民的な議論について「エモーショナル(感情的)に再稼働に反対する人たちと議論することはできない。好き嫌いを離れ、このままでは立ちゆかなくなる日本のエネルギー政策をきちんと議論していく必要がある」と述べ、原発反対派はエモーショナルと決めつけたが、誰が議論の場を奪っているのか。

先の投書氏が指摘するように、自分の目や耳で確認せず、対応を聞かれると「態度を示さず」、投票では勢力の大きなものに付くという姿勢こそエモーショナルといえるだろう。原発批判派や脱原発派を議論もせずに抑え込み、議員だけの数の力で再稼働を強行する姿勢と、原発企業でもある日立製作所会長兼経団連会長の発言には住民の声を極力無視するという共通項がある。それはまた辺野古新基地建設に対する沖縄県民の声を抑え込んでいることとも共通している。